「会社には人事権があるから仕方ない」
「経営判断なんだから従うしかない」
「人事に口出しはできない」
転勤、配置転換、出向、転籍――
これらすべての根底にあるのが人事権です。
確かに、
会社には人事権があります。
ですが、
人事権=何でも自由
ではありません。
この記事では、
人事権とは何か
なぜ広いとされるのか
どこで“違法”になるのか
権利濫用の判断基準
を、実務ベースで整理します。
■ 人事権とは何か
人事権とは、
労働者の配置
職務内容
勤務地
役職
などを決定する会社の権限を指します。
労働契約は、
会社の指揮命令に従う
という構造を前提にしています。
そのため、人事権は基本的に広く認められています。
■ なぜ人事権は広く認められるのか
会社は、
経営責任を負っている
組織運営を行う立場
にあります。
そのため、
人員配置を柔軟にできなければ
事業が成り立たない
という理屈があります。
ここが、
人事権が強い理由です。
■ それでも「権利濫用」は許されない
人事権には制限があります。
民法上の「権利濫用」という考え方により、
社会通念上相当でない場合
は無効になる可能性があります。
■ 権利濫用と判断される典型例
裁判では、次の点が見られます。
① 業務上の必要性の有無
② 動機・目的の正当性
③ 労働者への不利益の程度
④ 手続きの相当性
これらを総合的に判断します。
■ 「必要性」が弱い場合
配置転換や転勤の理由が、
抽象的
形式的
である場合、
合理性が疑われます。
例えば、
具体的な人員不足がない
説明が曖昧
などです。
■ 「動機」が不当な場合
特に問題になるのが、
報復的異動
退職に追い込む目的
組合活動への対抗措置
などです。
この場合、
人事権の行使は違法と判断されやすくなります。
■ 「不利益の程度」は重要
家庭事情
介護
健康状態
に重大な影響が出る場合、
不利益が大きいと評価されます。
ただし、
単に不便になる
通勤時間が延びる
程度では足りないことが多いです。
■ よくある誤解①「経営判断だから裁判所は口出ししない」
裁判所は、
経営判断を尊重しますが、
無条件に認めるわけではありません。
不合理な人事は、
きちんとチェックされます。
■ よくある誤解②「不満があれば全部違法」
一方で、
不満=違法
ではありません。
合理性があれば、
厳しい異動でも有効とされることがあります。
■ 実務で重要なのは「証拠」
人事権を争う場合、
異動理由の説明
メール
人事評価の変化
発言記録
などが重要になります。
感情だけでは立証できません。
■ まとめ:人事権は強いが、万能ではない
人事権は、
会社に広く認められている
のが原則です。
しかし、
不当な目的
過度な不利益
合理性の欠如
があれば、
権利濫用として無効になる可能性があります。
★ お問い合わせ・ご相談について
当事務所では、
人事権行使の有効性チェック
転勤・配置転換の違法性判断
報復的異動の整理
争うべきかどうかの戦略整理
など、人事問題の初期段階からご相談をお受けしています。
お電話・メールでお気軽にご相談ください。
「ブログを見た」とお伝えいただければ、状況に応じてご案内します。
