会社に勤めていると、こんな状況に心当たりがありませんか?
「実際の勤務時間を書きにくい雰囲気がある」
「サービス残業が当たり前になっている」
「テレワークの“本当の労働時間”を会社が把握していない」
「勤怠管理が“自己申告”のまま放置されている」
実は今、国が特に強調しているのが
「労働時間の客観的把握」を企業に義務付ける方向性 です。
つまり、
“社員が何時間働いたか、会社は客観的・正確に記録しなければならない”
というルールの徹底。
これは、働き方改革の中で 最も本質に近い改正 の一つです。
この記事では、
なぜ勤怠管理が厳格化されるのか
「客観的把握」とは具体的に何を指すのか
労基法改正で企業は何を求められるのか
実務で注意すべきポイント
を専門家の視点でわかりやすく整理していきます。
■ 「労働時間の客観的把握」はすでに努力義務→今後は“義務”に
実はこのテーマ、すでに2019年の働き方改革で導入されています。
▼ 現行ルール
企業は、
“客観的な方法”で労働時間を把握するよう努めなければならない(努力義務)
ここでいう客観的な方法とは:
ICカード打刻
PCログオン・ログオフ時間
勤怠システムの自動記録
監視カメラの入退室情報
など。
しかし現場では、
努力義務であるがゆえに未整備の会社が多い。
特に中小企業では、
自己申告(紙のタイムカードやExcel)だけで管理しているケースが非常に多い。
その結果、
長時間労働の把握が不十分
サービス残業の温床
テレワークの勤務時間が曖昧
労務トラブルが増加
こうした問題が噴き出しているため、
今後は「努力義務」から「義務化」へ格上げ される方向性が強まっています。
■ なぜここまで厳格化される流れなのか?
理由は複数ありますが、特に重要なものを解説。
▼ ① 自己申告制が“機能していない”ケースが多い
労働者側が
「本当の残業時間を書きにくい」
「会社に迷惑をかけたくない」
という意識で、申告が実態と乖離する問題。
これがサービス残業の原因になり、
健康障害や過労死の背景にもなっています。
▼ ② テレワークで“見えない労働時間”が急増
早朝からメール返信
夜の会議
深夜に資料修正
このように “見えない残業” が増えた結果、
実態と記録が一致しないケースが増加中。
▼ ③ 企業側も“正確に把握できない”という課題を抱えている
勤怠システムが古い、
PCログが取れない、
入退室管理が紙ベース——
多くの企業が時代に追いついていません。
▼ ④ 国際基準に合わせる必要がある
欧州では、
「会社は労働時間を正確に記録する義務がある」
と司法判断が下されており、
世界的な労働環境の潮流となっています。
■ では、義務化されると企業は何を求められる?
【企業が行うべき対応ポイント】
▼ ① 客観的な把握方法の導入が必須に
ICカード打刻やPCログの自動収集など、
「証拠が残る方法」で労働時間を記録することが前提 になります。
▼ ② “自己申告のみ”の運用はアウト
Excel入力や紙の申告書だけ…
といった運用では法令違反になる可能性が高い。
▼ ③ 勤怠システムの入れ替え・アップデートが必要
古い勤怠システムは改正に対応できない場合があります。
▼ ④ 管理職にも記録義務が及ぶ可能性
「管理監督者は労働時間規制の対象外」
という従来の考え方も、健康確保の観点から見直しが進んでいます。
▼ ⑤ テレワークの勤務実態を“可視化”する方法が必要
ログイン・ログオフ記録やアプリの活動記録など、
テレワーク時代の労働時間管理が求められます。
■ 従業員にとってのメリット
▼ ① サービス残業が減りやすくなる
労働時間が客観的に記録されるため、
「隠れ残業」が消えやすくなります。
▼ ② 健康障害リスクの低減
過労死ラインの把握がしやすくなり、
企業側にも「健康配慮義務」が強く働きます。
▼ ③ 給与・残業代の透明性が向上
不正な未払い残業問題の改善に直結。
■ 改正が施行されたら起きる“実務の変化”
● シフト制企業→勤怠システム必須化の可能性大
紙・Excel管理の会社はアウト。
● オフィスワーカー→PCログとの突合が常態化
勤怠入力とログの差異チェックが一般化。
● 店舗・工場→ICカード・生体認証の普及加速
入退室記録が労働時間の基礎データに。
● テレワーク→“見えない残業”が記録される時代へ
企業側の管理意識が大きく変わります。
■ 企業が“今”やっておくべき準備
▼ ① 現行勤怠管理の棚卸し
「自己申告だけ」「紙ベース」を即確認。
▼ ② 勤怠システム会社に相談
客観的把握機能があるかチェック。
▼ ③ 打刻方法の統一
出勤・退勤の記録を一元化する。
▼ ④ テレワークのルール整備
メール時間・深夜作業の申告方法を決める。
▼ ⑤ 管理職向け研修
勤怠管理は「管理職の義務」である認識を強化。
■ まとめ:勤怠管理の厳格化は“働き方改革の本丸”
今回の改正方向性は、
単なるIT化ではありません。
すべての労働時間を記録する
特別条項や残業上限を守る
健康障害を防ぐ
労務リスクを減らす
こうした “働き方の根幹” を整える改正です。
勤怠管理が曖昧な企業は、
改正施行後に大きなリスクを抱える可能性があります。
今のうちに、
「うちは客観的に労働時間を把握できているか?」
という視点で見直すことが極めて重要です。
