「自分が無理をしなければよかっただけ」
「断れなかった自分が悪い」
「生活のためには仕方なかった」
過労死や過労自殺の話になると、
雇われる側自身が、こうやって自分を責めてしまう ケースは少なくありません。
しかし、法律や実務の世界では、
過労死は “個人の努力不足”や“根性論”で片付けられる問題ではない
と明確に整理されています。
長時間働かざるを得なかった
断れば不利益を受けそうだった
相談できる空気ではなかった
こうした状況に置かれていた場合、
責任は労働者個人ではなく、職場環境や会社側にある
と判断されることが多いのです。
この記事では、
雇われる側から見た過労死問題の本質
「自己責任」と言われがちな誤解
労働者が本来持っている権利
なぜ声を上げにくい構造が生まれるのか
を、専門家の視点でわかりやすく解説します。
■ 過労死は「本人の問題」ではない
まず、最も大事な前提から。
▼ 過労死は労働災害の一種
法律上、過労死は
業務が原因で起きた死亡・自殺=労働災害(労災)
として扱われます。
つまり、
仕事が原因
職場環境が原因
であれば、
「本人の体力不足」や「性格の問題」ではない
という考え方が基本です。
▼ 「頑張った結果」では評価されない
どれだけ真面目で、
どれだけ責任感が強くても、
無理をした
休まなかった
断れなかった
という事実は、
会社側の管理の問題 として見られます。
■ なぜ雇われる側は無理をしてしまうのか
▼ ① 断ったら評価が下がりそう
昇進
契約更新
人間関係
これらへの不安から、
「断れない空気」が生まれます。
▼ ② 仕事量の基準が曖昧
どこまでが適正なのか
どこからが無理なのか
基準が示されていないと、
無限に仕事を抱え込んでしまう ことになります。
▼ ③ 周囲も同じように無理をしている
「みんなやっているから」
「自分だけ休めない」
この同調圧力は、
過労死問題で非常によく見られる要素です。
■ 「本人が望んで働いていた」は通用しない
過労死問題で、
会社側がよく口にする言葉があります。
「本人がやりたいと言っていた」
しかし実務では、
この主張は ほとんど評価されません。
▼ なぜなら、労働者は立場が弱いから
雇用関係
評価・人事権
これらを握っているのは会社側です。
その中での「同意」や「希望」は、
自由な意思とは言えない と判断されやすい。
■ 雇われる側が本来持っている権利
意外と知られていない、
しかし非常に重要なポイント。
▼ 無理な長時間労働を拒否する権利
「残業しないと迷惑がかかる」
と思っても、
違法・過度な労働を拒否する権利はあります。
▼ 体調不良を理由に休む権利
身体的不調
メンタル不調
どちらも、
正当な休業理由 です。
▼ 相談・申告する権利
上司
人事
外部窓口
労基署
相談すること自体が
不利益になることは許されません。
■ それでも「声を上げられない」現実
ここが一番つらいところ。
▼ 不利益を恐れる心理
仕事を失うかもしれない
評価が下がるかもしれない
この恐怖が、
労働者を沈黙させます。
▼ 「自分だけが弱い」という思い込み
過労死に至る人の多くは、
むしろ真面目で我慢強いタイプ です。
弱いからではありません。
■ 過労死問題で一番危険な考え方
それは、
「まだ大丈夫」
まだ動ける
まだ働ける
まだ倒れていない
この段階で止まれないことが、
最も大きなリスクになります。
■ 雇われる側が覚えておいてほしいこと
無理をする義務はない
壊れるまで頑張る必要はない
命より大事な仕事はない
これは感情論ではなく、
法律と実務が前提としている考え方 です。
■ まとめ:過労死は「構造の問題」
雇われる側の過労死は、
個人の問題ではなく
性格の問題でもなく
努力不足でもない
職場の構造・環境の問題 です。
だからこそ、
「自分が悪かった」と思わないでください。
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