育児や介護をしながら働く人が年々増加しています。
小さな子どもを育てながらフルタイム勤務
親の介護でシフト勤務が難しくなる
保育園の送迎が必要で早朝や夕方の勤務に制限がある
こうした家庭事情と仕事の両立は、
もはや一部の人ではなく“ほとんどの社会人が通る道” になりました。
その一方で、企業側にはこうした声が増えています。
「急な子どもの体調不良で欠員が出る」
「介護と仕事の両立で残業ができない社員が増えた」
「制度はあるけど現場が追いつかない」
そこで今、国が大きく動いているのが
育児・介護と仕事の両立支援制度の強化 です。
来年度の労基法・育介法の改正では、
特に以下のポイントが注目されています。
この記事では、
なぜ両立支援制度が強化されるのか
改正で何が変わるのか
企業と従業員への影響
実務で注意すべきポイント
を専門家の視点で丁寧に解説します。
■ なぜ両立支援制度の強化が必要なのか?
▼ ① 少子化と“働き手不足”の深刻化
育児と仕事を両立できない環境は、
女性の離職や少子化の原因にもなっています。
国としては、
「育児しながら安心して働ける社会」 を本気で作る必要がある。
▼ ② 高齢化に伴う“介護離職”が社会問題に
年間10万人以上が介護離職しているとも言われ、
労働力不足に直結。
▼ ③ 現行法律が“現場に浸透していない”
育児介護休業法に制度はあるものの——
取得しにくい雰囲気
上司の理解不足
現場のマンパワー不足
など、制度と現場が乖離したまま の企業も多い。
■ 来年度改正の注目ポイント
労政審の議論から、方向性が明確になっている項目を整理。
【両立支援制度 強化ポイント(想定案)】
▼ ① 時間外労働の制限・禁止ルールの強化
育児・介護を抱える従業員について、
残業をさせないルールがより厳格化 される可能性があります。
例)
小学校就学前の子どもを育てる従業員
介護中の従業員
に対して、会社側が「残業させにくい」構造が強まる。
▼ ② 始業・終業時刻の変更(短時間勤務)の義務化範囲拡大
これまで努力義務だった部分が、
申出があれば原則認める方向 に強化される可能性。
▼ ③ 男性の育休取得促進(義務化レベルの強化)
国は男性育休を特に強化しています。
パパ育休(出生時育休)の利用促進
企業の取得率公表の義務化
育休取得の個別周知の厳格化
などが議論されています。
▼ ④ 介護休業の“段階的取得”の柔軟化
介護休業を分割して取れる仕組みを拡充し、
実態に合わせた運用へ。
▼ ⑤ 企業の両立支援義務の“罰則付き義務化”の可能性
育児・介護に関する措置を講じない場合、
指導・是正・罰則の流れが強まる可能性 があります。
■ 企業に起きる“実務インパクト”
両立支援の強化は、企業にとってかなり大きな構造改革につながる。
▼ ① 就業規則の大幅改定が必要
育児・介護の短時間勤務
時間外労働の免除
始業・終業時刻変更
男性育休に関する規程
など、ほぼ全て見直し対象。
▼ ② シフト制企業では欠員対策が必須
急な保育園呼び出しや介護対応で
当日の欠員 が出る可能性が高い。
運用の工夫が必要。
▼ ③ 上司・管理職の“理解不足”が最大のボトルネック
制度はあっても
「現場が拒否する」
「空気的に取りにくい」
という問題が起きやすい。
研修や周知が絶対に必要。
▼ ④ 人件費・業務分担の再構築が必要
短時間勤務者が増えると、
運営体制の見直しが必要に。
■ 従業員側のメリット
▼ ① 育児・介護と仕事を両立しやすくなる
時間に自由度が生まれる。
▼ ② 男性の育児参加が増え、家庭環境が改善しやすい
父親育休の拡大は大きなメリット。
▼ ③ 離職せず働き続けられる環境が整う
キャリア断絶を防げる。
■ 企業が“今”準備しておくべきこと
▼ ① 就業規則の両立支援条項を点検
抜け落ち・曖昧な部分をチェック。
▼ ② 管理職研修
制度を理解してもらうことが最重要。
▼ ③ 代替要員の確保・シフト改善
欠員対応の仕組みを整える。
▼ ④ 育児・介護者の申出ルール整備
手続き・書式・通達方法を明確にする。
▼ ⑤ 企業文化の調整
「取りにくい空気」を無くす取り組みが必要。
■ まとめ:両立支援の強化は“労働環境の質”を上げる大改革
育児・介護と仕事の両立支援は、
単なる制度の話ではありません。
離職防止
働き手不足対策
健康確保
家族の生活の安心
企業の競争力向上
国の狙いは、
「誰もが安心して働き続けられる社会」を作ること。
改正後に慌てないよう、
企業は事前準備が極めて重要です。
