副業を解禁する会社が増え、
「本業しながら別の仕事もして収入アップ」
という働き方が一般化してきました。
しかし、その一方でこんなトラブルも増えています。
「社員の副業時間を把握していなかった」
「副業の時間が過労死ラインを超えていた」
「副業による情報漏えい」
「健康障害で本業に支障が出る」
こうした現実を受けて、国はいま、
副業・兼業ルールの“再整理・強化” に動いています。
これまでの指針(ガイドライン)は、
“できるだけ副業を認めましょう” という方向でしたが、
今後は 「安全性」「労働時間」「リスク管理」を中心にした厳格運用 に移行する可能性が高い。
この記事では、
なぜ副業ルールが強化されるのか
労基法との関係はどうなるのか
企業と従業員に何が求められるのか
実務で絶対に注意すべきポイント
を専門家目線で徹底解説します。
■ なぜ今、副業ルールが“厳しく”なるのか?
▼ ① 副業時間の“未把握”が健康トラブルを招いている
副業は自由度が高い半面、
「他社での労働時間がまったく見えない」 という構造的な問題があります。
例)
本業40時間+副業30時間=年間70時間労働
→ 本業側は健康管理義務を果たせなくなる
これが過労リスク、長時間労働問題に直結。
▼ ② 過労死認定で“副業時間”が考慮され始めている
実は近年、
労災認定で副業の労働時間が判断材料となるケースが急増しています。
つまり会社側は、他社で働いていた時間を知らずに
“結果的に違法な長時間労働”を発生させてしまうリスクがある。
▼ ③ 情報漏えいや競業トラブルの増加
同業他社で副業
顧客情報の持ち出し
副業先との競業禁止違反
SNS副業による会社イメージ悪化
副業が一般化したことで、
生じるトラブルの種類も一気に増えた。
▼ ④ 副業の「自己管理任せ」では限界がある
テレワーク、副業の多様化により、
従業員が自分で時間を申告する方式だけでは
管理が追いつかなくなっている。
■ 改正の方向性:副業の“本格的管理”が始まる
国の議論では、以下の方向が強く示されています。
【副業ルールの強化ポイント(想定案)】
▼ ① 企業には“副業時間の把握義務”が課される可能性
これまで努力義務だった部分が、
義務化される方向性が強い。
副業の時間
健康状態
労働時間の総和
これらを会社側が把握する必要が出てくる。
▼ ② 合計労働時間が「法定上限」を超えないよう管理
例)
本業40h+副業20h=60h/週
→ 労基法違反の可能性
これを防ぐため、
企業間での時間調整(連携)が重要に。
▼ ③ “副業禁止”を認めやすい制度設計へ
これまでは
「原則禁止は望ましくない」が国の方針。
しかし今後は、
健康リスク
情報漏えいリスク
業務支障リスク
これらを理由に
合理的な副業制限(禁止)が認められる方向 になっている。
▼ ④ 副業者の労災対応を明確化
どちらの会社が労災を出すのか、
費用負担は誰がするのかなど、
現在曖昧なルールを明確にする議論が進行中。
▼ ⑤ 従業員側の“申告義務”が強まる
企業だけでなく従業員も、
副業時間・内容について 正しく報告する義務 が強化される流れ。
■ 企業に起こる“実務インパクト”
副業ルールの強化は、企業に大きな運用変更を迫ります。
▼ ① 社内規程(就業規則)を見直す必要あり
副業許可制or届出制
競業禁止範囲
時間管理方法
健康管理の体制
情報漏えい対策
これらを改定しないと整合性が取れなくなる。
▼ ② 従業員の労働時間管理が複雑化
他社での勤務時間も加味するため、
勤怠管理担当の業務負担が増える。
▼ ③ 健康管理義務が重くなる
副業による疲労が本業の業務に影響した場合、
企業の責任が問われる可能性がある。
▼ ④ トラブル発生時のリスクが大きい
過労死
情報漏えい
労務紛争
副業トラブルは拡大すると大事件化しやすい。
■ 従業員側のメリット
国の狙いは、
“副業を禁止する”ことではありません。
目的は、
安全に副業できる環境をつくること。
▼ ① 無茶な働き方を避けられる
過労死ライン超えの働き方を阻止できる。
▼ ② 副業による不利益が減る
トラブル時の責任範囲が明確になる。
▼ ③ 本業と副業の両立がしやすくなる
時間管理ルールが整備されることで、
より健全に副業が可能に。
■ 企業が“今”やるべき準備
副業ルール強化は避けられない流れ。
施行後に慌てるより、事前準備が圧倒的に有利。
▼ ① 就業規則の副業規定を見直す
“禁止 vs 届出制 vs 許可制” を再定義。
▼ ② 副業者の労働時間把握ルールを策定
労働時間の総和をどう管理するかを決める。
▼ ③ 健康管理体制の整備
副業者への面談・フォロー体制を整える。
▼ ④ 情報漏えいリスクの対策
守秘義務契約・競業禁止の範囲を再設定。
▼ ⑤ 副業先とのトラブル対策
責任区分を明確化しておく。
■ まとめ:副業は“自由”から“制度の時代”へ
これからの副業は、
“好きなように働ける”という段階を越え、
ルールと安全性を前提にした時代 に入ります。
企業も従業員も、
副業をどう扱うかが“労務管理の大テーマ”になる。
副業ブームの数年後、
今は過渡期。
動き出すなら早い方が圧倒的に得です。
