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法定休日は“事前に決める時代”へ|労働基準法改正で進む「休日の明確化」と企業・従業員に起きる変化を徹底解説

日野アビリティ法律事務所

会社で働いていると、たまにこんな経験はありませんか?

「今日って休日扱い?出勤扱い?」

「この日は振替休日なの?代休なの?」

「シフト制だけど…どこが法定休日なの?」

「給与明細の休日区分がよくわからない…」

実はこれ、“休日が曖昧なまま運用されている企業”によくあるトラブルです。

そこで今、国が本気で検討している改正が、

法定休日の“事前特定”の義務化 です。

これは簡単に言えば、

「会社は、あらかじめ“ここが法定休日です”と明確に決めてください」

という制度。

今まで曖昧に運用されがちだった休日管理に、

“線を引く”ことを求められるわけです。

この記事では、

なぜ休日の明確化が必要なのか

シフト制企業はどう変わるのか

従業員・企業に起こるメリット・デメリット

実務面での注意点

を専門家の視点で徹底解説します。

■ なぜ今「休日の事前特定」が問題視されているのか?

休日の扱いが曖昧だと、

給与計算・シフト管理・労務トラブル が頻発します。

特に以下のパターンが大問題。

▼ ① 休日なのか勤務日なのか曖昧なまま運用される

シフト制の会社や小規模事業場で特に多いのが、

「とりあえず休んでもらう日」

「何となく休み扱い」

…といった曖昧管理。

これが割増賃金の未払いにつながり、

後に大きな紛争に発展する可能性があります。

▼ ② 代休・振替休日の扱いを会社側が理解していない

労基法では「振替休日」と「代休」はまったく違う制度ですが、

現場では “なんとなく同じ扱い” で運用されているケースが珍しくありません。

その結果、

本来支払うべき割増賃金を払っていなかった

就業規則に反した運用をしていた

という事案が非常に多い。

▼ ③ シフト制の休日トラブルが増加している

急なシフト変更で休日が消えた

曜日が固定されていない

勤務日・非勤務日の線引きが曖昧

リアルな現場では、

“休日の概念がうやむやになりやすい”

ことが問題視されています。

▼ ④ 「働き方の透明性」を求める時代に合っていない

働く側の意識も大きく変わり、

「自分の休日がどう扱われているのかを知りたい」

というニーズが強くなりました。

曖昧な運用は、“ブラック企業扱い”されるリスクもあります。

■ 改正案:法定休日を事前に特定する義務化

国が検討している方向性はシンプルです。

● 会社は “法定休日” を事前に決めておく

(例)毎週日曜を法定休日とする

(例)シフト制の会社は「この週の休日は○日です」と前もって示す

これにより、

「この日は休みか働く日か?」という根本的な不明点をゼロにする

という狙いがあります。

■ 義務化されると何が変わる?

企業と従業員それぞれに、具体的な変化が生まれます。

【企業側の変化】

▼ ① シフト表・勤務表の作り方が変わる

曖昧な「なんとなく休み」運用は不可能になります。

休日を明確に書く必要があるため、

シフト表の構成が完全に変わる 企業も多いです。

▼ ② 急なシフト変更が難しくなる

休日を事前特定するということは、

「後から休日をコロコロ変更できなくなる」

という意味でもあります。

特に少人数の職場では、調整が難しくなります。

▼ ③ 就業規則の改定が必須

休日の定義・扱い・振替休日・代休の使い分けなど、

規則を書き換えないと整合性が取れません。

▼ ④ 違法運用が露呈しやすくなる

休日が明確になるということは、

「違法なシフトが発覚しやすくなる」

という側面もあります。

言い換えれば、

“ごまかしが効かない時代”

になるということです。

【従業員側の変化】

▼ ① 休日がわかりやすくなる

最も大きなメリットがこれ。

休みの予定が立てやすくなる

プライベートと仕事の線引きが明確に

シフト不満の理由が減る

働きやすさが向上します。

▼ ② 勤務日の扱いに対する不満が減る

曖昧な運用がゼロになるため、

「いつの間にか休日が消えていた」

というトラブルが激減します。

▼ ③ 給与計算の透明性が上がる

休日とは何なのか。

どの休日に割増がつくのか。

これが“見える化”されるので、

給与明細への不信感も減少。

■ “休日の事前特定”はいつから?

現状は、

労政審で議論

報告書に明確に検討項目として記載

働き方改革の文脈で積極的に推進

という状況で、

改正法の候補として非常に強い位置づけ です。

施行されると、

シフト制企業はほぼ確実に運用変更が必要 になります。

■ 企業が“今”やっておくべきこと

義務化されてから大慌てになるよりも、

事前に準備しておいたほうが圧倒的に得です。

▼ ① 現行の休日管理方法をチェック

本当に明確か?あいまいな部分はないか?

▼ ② シフト表で休日をどう表示するか決める

「休日欄」「勤務日欄」を分けるだけで透明度が上がります。

▼ ③ 就業規則の休日条項を見直す

定義・振替・代休の考え方を整理しておく。

▼ ④ 労働時間と休日の線引きを整理

曖昧な部分がないか、人事・管理職で共有しておく。

■ まとめ:休日の“曖昧運用”はもう通用しない時代へ

今回の改正の狙いは、

働き方の透明性を高めること

労働トラブルを事前に防ぐこと

休日と勤務日の線引きを明確にすること

特にシフト制企業では、

曖昧管理が一番トラブルを生みやすい部分。

今後は企業も働く人も、

休日の扱いに対して、より高い意識が求められます。

制度化されたとき、すぐ動けるよう準備しておくことが重要です。

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