最新の事件ではありませんが、印象に残っている事件ですので、この場で紹介いたします。
X社と、Y社でそれぞれアルバイトとして掛け持ちで働いていた女性従業員Aさんが、長時間労働とX社の社長によるハラスメントにより精神疾患を発症し、自ら命を絶つという痛ましい事件が発生しました。
Aさんのご両親は、当職らに労災申請を依頼し、労災申請を行いましたが、労基署では労災が認められませんでした。そこで、Aさんのご両親と当職らは、労働者災害補償保険審査官に審査請求を行い、改めてAさんが受けた度を超したハラスメントなどの労働実態を、同僚や知人の証言を得て詳細かつ精力的に立証活動をし、審査官に労災認定をするよう働きかけました。
その結果、審査官は、Aさんの死亡は業務によるものと認めて労災が認められ、Aさんの両親に補償がなされることとなりました。
その後、Aさんのご両親は、社長がハラスメントを行ったX社に対し損害賠償請求を行い、労災でカバーできない損害について賠償を得ることができました。
本件は、被災者のAさんがX社とY社で掛け持ちで勤務をしていた結果、長時間労働になったという特殊性があり、それによる難しさはありましたが、Aさんのご両親や当職らがハラスメントや長時間労働の実態について立証活動をした結果、労災不支給という当初の処分を覆すことができたのであり、弱者救済をやりがいと考えている当職にとって、労災被災者のご遺族の救済という役割を果たすことができて感無量でした。