「退職するから制服代を給料から引くと言われた。」
「研修費を会社が立て替えたので給与から控除すると説明された。」
「会社のパソコンを壊したので弁償代を給料から差し引かれた。」
このような相談は、
労働問題の中でも少なくありません。
会社では、
制服や工具、
社員証、
パソコン、
携帯電話など、
様々な備品を貸与することがあります。
また、
研修費や資格取得費用を会社が負担することもあります。
しかし、
会社がこれらの費用を理由として、
自由に給与から差し引けるわけではありません。
この記事では、
制服代や研修費などの給与控除について解説します。
■ 賃金全額払いの原則
労働基準法第24条では、
賃金は全額支払わなければならないと定められています。
そのため、
会社が一方的な判断で、
制服代や備品代を給与から差し引くことは、
原則として認められません。
■ 制服代は天引きできる?
会社が貸与している制服を、
退職時に返却しなかった場合などには、
制服代が問題となることがあります。
もっとも、
制服を返却しなかったことと、
給与から当然に代金を控除できることは別問題です。
会社は、
一方的に給与から差し引くのではなく、
法的な手続に沿って対応する必要があります。
■ 備品を壊した場合
会社のパソコン、
工具、
スマートフォンなどを破損した場合でも、
直ちに給与から修理代を控除できるわけではありません。
まず、
労働者に損害賠償責任があるかどうかを検討する必要があります。
さらに、
仮に責任が認められたとしても、
給与を一方的に差し引くことは、
賃金全額払いの原則との関係で問題となります。
■ 研修費はどうなる?
会社が負担した研修費について、
一定期間内に退職したら返還するよう求める制度を設けている会社があります。
しかし、
その内容が、
労働基準法第16条の**「賠償予定の禁止」**に反しないか、
慎重な検討が必要です。
研修の内容や、
返還を求める理由、
契約内容によって結論は異なります。
■ 資格取得費用
資格取得費用についても、
会社との契約内容が重要になります。
例えば、
高額な専門資格について、
会社が費用を負担し、
一定期間勤務することを前提としている場合があります。
もっとも、
退職したからといって、
当然に給与から一括控除できるわけではありません。
■ 労働者が同意した場合
本人が十分な説明を受け、
自由な意思で控除に同意した場合には、
一定の場合に認められることがあります。
しかし、
退職直前など、
実質的に断れない状況で同意した場合には、
その有効性が争われることもあります。
■ 就業規則だけでは足りない
会社から
「就業規則に書いてある」
と言われることがあります。
しかし、
就業規則に記載されているだけで、
自由に給与控除ができるわけではありません。
労働基準法などの法律に反する内容であれば、
その効力が否定される可能性があります。
■ よくある誤解①
「制服を返さないなら給料から引いて当然」
制服の返却義務と、
給与控除は別問題です。
会社が自由に給与から差し引くことは、
原則として認められません。
■ よくある誤解②
「会社がお金を出した研修だから必ず返さなければならない」
研修費返還の約束が常に有効とは限りません。
契約内容や研修の性質、
労働基準法との関係を踏まえて判断する必要があります。
■ 実務で重要なこと
制服代や研修費などが給与から控除されていた場合には、
**「控除の根拠は何か」**を確認することが重要です。
就業規則、
労働契約、
誓約書、
給与明細などを確認し、
法律上認められる控除なのかを検討する必要があります。
納得できない場合には、
会社へ説明を求め、
必要に応じて専門家へ相談することをおすすめします。
■ まとめ
制服代、
備品代、
研修費などを理由として、
会社が自由に給与から控除することは、
原則として認められていません。
賃金全額払いの原則により、
給与控除には法律上の根拠や適切な手続が必要です。
給与から差し引かれていた場合には、
その理由や法的根拠を確認し、
適切に対応することが大切です。
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